「砂糖の世界史」/川北稔/岩波書店(岩波ジュニア新書)

 ちょっと仕事でこういう話に触れることがあったので、もともと気になっていた本だからちょうどいいと手に取ってみたのだけど、今まで読まなかったのが損したと感じるぐらい。個人的には世界史は苦手でしたが、こういう話を読むと奴隷史であるとか嗜好品の広がり方、南北格差・社会制度のあり方といった、個々の視点と大きな視点の両方へ目を向けることの大事さがわかります。類書に「バナナと日本人(isbn:4004201993)」・「エビと日本人(isbn:4004300207)」という有名な本があるのですが、たぶんこれらより取りかかりやすいんじゃないかな。私はこの本が自分の趣味もあって一番興味深く読めたと思います。たぶん、中高生なら何か課題図書とかで読むことが多いんだろうなぁと思いますが、その年代にこれだけ具体的な事例を持って「世界」を眺めるきっかけができるなんてうらやましいです。事実を知ることで、教科書とはまた違った視点から学ぶことのできるものがあるということがわかってもらえると思います。
 岩波はジュニア新書だからって侮っていてはいけないですね。むしろ岩波新書より読みやすく理解もしやすく考えさせるように書かれていると思うのですが、中高生だけのものにしておくのは何とも勿体ない。

砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

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