Redentore 〜Aqua,Aria,Venezia.(ヴェネツィアの、水と空気と。)〜


 そんなわけで、今年の夏は、いつもと時期を変えて7月半ばにイタリアはヴェネツィアに。
 今年の冬からアニメと小説とエッセイとでヴェネツィア熱にうなされ、今すぐでも飛んでいきたいという気持ちを抑えること半年。前半は友人id:tech_k氏と、「休みがここしか取れん」というので無理やり合わせたのに「会議が入った(泣」と友人は途中で帰ったので後半は一人で、という変則な旅でしたが、気分も変わってこれはこれで良かったかも。
 「水の都」と称される街は多々あれど、これほどまでその名が似合うところはないな、というのが正直なところ。春に行ったベルギー・ブリュージュとかも、水辺から見る景色の美しさに異論はなかったけど、「車の往来を気にせず安心して散歩ができる街」という楽しさはここならではのもの。独自のテンポで進むヴァポレット(水上バス)、観光客を乗せた華やかなゴンドラ、市民と観光客の入り交じったトラゲット(渡し船)、モトスカーフィ(水上タクシー)などのモーターボートや資材などを運ぶ運搬船など、大運河を見ているだけでも飽きが来ません。前回(10年ほど前)に来たときは、北イタリア周遊のツアーだったからか、ほとんど記憶に残っていなかったのだけれど、滞在すればするほど、これほど奥深く気になる街だとは思いもしませんでした。確かにイタリアの街ではあるのだけれど、他のイタリアの街とは(街並みや建物の構造をとってみても)どこか空気感の違う不思議。

 もう一つ、この時期を狙った理由が、ヴェネツィアきっての夏祭り、「レデントーレ」を見たかったから。救世主の祝祭「Redentore」は、16世紀にヴェネツィアを襲ったペストの大流行からの救済を神に祈ったことから始まる宗教祭。といってもそこはイタリア。花火が上がり、皆で賑やかにごちそうを食べることには変わりない。数百年という年月の間に変わったこともあるだろうけど、年1回このときだけ、ジュデッカ運河には仮設の浮き橋参道が設けられるというこのときだけの風景は今も変わっていない。そして、ヴェネツィア人が「もっとも有名な一夜」と呼ぶ光景もそのまま、なのだそうだ。
 そんな時間を見ることができて、私は幸せだった、と思う。


▽その他の写真をまとめたアルバムをこちらに。
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Aqua,Aria,Venezia.(ヴェネツィアの水と空気と)