ひさびさに感想メモなど−「美しい都市・醜い都市」/五十嵐太郎/中央公論新社(中公新書ラクレ)

 タイトルを見て、真っ先に「美しい景観を創る会」の「悪い景観100選」の話を思い出したのだけど、読んでみてなかなか楽しい指摘が。結局「美しい」「醜い」って主観なんですよね。本人の感性や識者の年齢層など、で「美しい」「醜い」を「いい/悪い」の判断にしようというのが?ということですね。東京・日本橋に空を取り戻すプロジェクトとかいうのも、日本橋の美しい風景といいつつも、江戸時代の初架橋当時とかではなく、単純に今の橋の上に昔はなかった高速道路がうざいので取ってまえみたいな主張者の郷愁、ひいては形が変わったハコモノ行政でしかないのでは、というところ。趣味嗜好で公共予算を動かされる前にもっと考えないといけないんでしょうね、ほんとは。なんか悪い景観100選などを見ていてもいまいち同意できなかった私としては、この本なかなか痛快だなぁと。結局、突き詰めると美しい街並みって北朝鮮平壌みたいになるんですね、と遠回しにいわれているような感じ、笑えました。

美しい都市・醜い都市―現代景観論 (中公新書ラクレ)

美しい都市・醜い都市―現代景観論 (中公新書ラクレ)

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