「父・宮脇俊三への旅」_旅先の本棚(2)

 鉄道紀行作家・宮脇俊三氏の長女・灯子氏が、作家生活と父と子の想い出などを描かれたもの。この本を読んでいると、名文筆家である宮脇氏の、著書では語られなかった裏側、というか普段の姿・エピソードがとてもよかった。「孤独な旅」を連想させる宮脇氏の裏側には温かい家庭があり、亭主関白で子煩悩・放任主義なところ、作家・宮脇俊三だけではなく家庭での父の姿の楽しさや苦しさというところにとても興味が注がれました。晩年の休筆の事情など、ファンとしては残念なところもありました。が、筆の勢いが確実に落ちている本を読むのとどちらが良かったかと考えさせられたりもします。やはり自己で決断なされた宮脇氏という人物の凄さなのでしょうか。父の"旅"、そして娘の"旅"の途中が描かれている好著だと思いました。

父・宮脇俊三への旅

父・宮脇俊三への旅

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