十勝六番勝負・その6(横綱)「ばんえい・帯広競馬場」


 本日のメインイベント。といいつつ、気がつけばトリプルメインになってしまったのですが、廃止が噂されていた「ばんえい競馬」を一目見たく、去年話が出た頃に思わず航空券を手配してしまいました。まあ、その後、ソフトバンクの子会社との提携で、来年度については存続という結論に落ち着いたのですが、ソフトバンクが関わってどうなるかもまだ未知数。また何か変わるかもしれないし、と思い、今のばんえい競馬を見ておきたいという気持ちは変わらず、結局足を運ぶことに。約10年前の大学生時代、夏に岩見沢ばんえい開催を見て以来で半分忘れかけていたけれどすごく楽しみ、なおかつ冬は初めてということでもう大興奮。

 ここでばんえい競馬自体の紹介をしてもしかたないので割愛しますが、「世界で北海道唯一」「いわゆる重種馬(農耕馬)のそり引きレース、直線200m」という、一般の競馬とはもう全く違ったシステムで動く、別個の世界。1t近くもある馬が、大荷物を引いて障害(坂)を登る姿はダイナミックっていうか気合いと迫力がものすごい。ゴールが鼻先でなくソリの終端で決まることも変わっているし、スタートからゴールまで馬の横を歩いていきながら観戦・応援できる競馬なんて他にない。なんというか、もう見てもらわないとこの迫力ってのはわからないんだろうなぁ。競馬をする人でも「サラブレッドじゃないよくわからない馬のするレース」ぐらいの認識で興味ない人がほとんどな気がするけど、見るとこれはこれで別のものとして楽しめると思います。あと、ひとつ衝撃だったのが、パドックがあって、普通の競馬と同じように馬の状態が見れること、そして本場へ出るとき、騎手が騎乗して連れて行くこと。なんとなく引き馬のイメージしかなかった私には、「ばんえい馬も乗れるんだ!」といい意味でショックを受けました。最初見たときほんとビックリした。

 そういえば、場内でも支援グッズが売られていたり「廃止騒動」時の名残が見受けられ、案内所に「廃止反対の意見をしたいけど本部ってどこ?」などと聞いているおばさま等がいらっしゃったり、まだまだ予断を許さないんだとは思うのですが、一つだけ。去年私が見に行ったような「お祭り競馬」じゃなく、観光や北海道遺産認定などと絡めることはもちろんなのですが、ちゃんと「競馬事業」として存続してほしいなぁというのが正直な気持ち。近代建築を外側だけ残して大改装するとか、昨日行った幸福駅のように記念切符は売れても乗客が乗らない鉄道は廃止されるとか、形だけ残すんじゃなくシステム・土台ごと残せるような仕組みを、主催の帯広市ソフトバンク関連は考えてほしいなぁと。馬券が買えない、パドックやオッズが出ない、賞金も配当もない、ただ走る?だけのレースは「競馬」ではなくやっぱり「お祭り」なんです。そして、もしばんえい競馬を残したいと思う人は、反対運動の声や署名、それだけじゃなく、ぜひ馬券を購入してください。別に当たって払い戻しを受けてもいいんです。馬券が売れないとシステムとして成り立たないのですから、競馬は。今どき、地方競馬も馬券収入だけでやっていける訳では当然ないですけど(まあ、競馬のシステム自体あんまり詳しくもないですけど)、じゃぁ「ばんえい競馬を残せるなら馬券は売らなくてもいいじゃない」となることが私は一番いやなのです。まあ、去年お祭り競馬ばかり行きまくっていた人間の台詞とは思えませんが(苦笑)。
 後の予定の関係で、昼過ぎまでしか滞在できなかったのがとても残念、もっともっと一日中でも居たかったというのは、決して珍しく収支が大きくプラスだったからだけではなく、ばんえい競馬という世界の魅力に取りつかれたからだと思っています。