十勝六番勝負・その1「旧 幸福駅」

 突然ですが、金曜日に休みをもらい、北海道へ。土日をはさんで三連休にしようと思ったら、一番ヒマそうな日が今日でした。なのに、日曜日に東京で所用が出来、大急ぎの周遊行なのですが。じゃぁなぜ年末年始休みまくっていたときにどこも行かなかったのかと。
 やたらと貯まったマイレージで「名古屋小牧→とかち帯広」「札幌千歳→大阪関西*1」の航空券を入手。十勝帯広空港は11:55着、気温はマイナス4℃。感覚が麻痺しているのか、寒いのは寒いけど、名古屋駅前でバス待ちしてたときの方が風が強くて寒かった気がする。

 そんなわけで、最初にやってきたのは、空港連絡バスで空港から約10分程にある、旧国鉄広尾線幸福駅跡。その昔、この土地はアイヌ語で「サチナイ」と呼ばれ、井県出身の入植者により「震」という字をあてたのが、後に集落名を幸福と改めたことに始まるのだそう。実際、入植の苦労は並大抵でないとかで、「幸せだったから」ではなく「幸せを求めて」この名前に改称したのだとか。広尾線開通のしばらく後の1956年に幸福駅が設置。テレビで紹介された後に大ブームとなり、駅名をもじって「愛の国*2から幸福へ」という記念切符がすごい勢いで売れたのだとか。残念ながら、1987年2月に国鉄広尾線廃止に伴い廃駅となったが、後世に残すべくと帯広市が整備し、あたりは交通公園となっています。
 雪化粧という言葉がすっかり似合う辺りは、駅と保存の気動車をすっぽりと包み込んでいました。駅といっても、物置に毛が生えたぐらいのちいさなちいさな木造の建家には、海外も含めた全国各地からの観光客が残していった名刺や使用済の定期券・航空券*3などが所狭しと貼られています。これはどういう意味なんでしょう。線路一本に板張りのホームが延びた、何の変哲もない鄙びた駅跡。なんだかとても侘しく感じます。あまり名前の通りになれなかったこの町、この駅に。
 元駅前には2軒の商店が店を開いていて、土産物として上記の乗車券が今でも売られていました。もちろん今は使えませんが、購入日の日付を入れてもらえます。「冬は天気のいい日だけあけてる」という一軒のご主人は「冬でも観光客が来るようになったのはこの2〜3年」だといいます。閉じこもっているより、たまに来る観光客と話している方が気分もいいから、だそう。記念にと切符を購入、その際「愛は簡単に手に入るかもしれないけど、幸福はなかなか手に入らないよ。がんばって探しな」なんていわれて、ちょっと苦笑してみたり。

*1:上記の所用で、東京羽田→大阪伊丹に変更。

*2:2駅帯広側に愛国駅があった

*3:これは外国人名が多かった…って意味わかるのか?