関門海峡ぶらり散歩

 ある友人A氏が、夏に「関門海峡を歩いて渡ってきた」というのが面白かったので、近くに行く機会を利用して足を伸ばしてきた。関門海峡は、あんまり九州への移動に意識することのないところだけど、いろいろな手段があるというのもおもしろく、結局九州側から1往復半しましたです。

その1、関門人道トンネル。


 スタートは門司港。JR門司港駅前から和布刈行のバスで約20分(バスの本数が少ないので注意)。意外と市街地から離れた公園の中に門司側入口はありました。ちょうど関門大橋(中国道)の橋脚の麓です。入口といっても、ビルの玄関口にエレベーターが3機並んでいるだけ。歩行者は無料、自転車や原付は20円。それも「料金は下関側にてお支払いください」の貼り紙だけ。なんともあっけない。まあ、別に何を期待していっているわけでもないのですが。原付や自転車が回転しなくてもいいように、乗り口と降り口の扉が違うエレベーターで40秒。深さ60m位、ちょっとした広場のようになっているところからスタート。ちょうどこの上が車道の国道トンネルになっている。横幅5mくらいか、そんなに広くもない通路が、微妙に傾斜して中央奥深くへ延びている。海底の中心点に向かって両側から降りていくという形。まっすぐではなく海底の中央地点が一番低くなるという寸法。途中までは軽快に足を進めていた。側溝はおそらくトンネルから染み出している海水だろう、中央最深部へ向かって流れていて、最終的にはポンプで汲み上げているよう。いや、ポンプが故障したりして、トンネルが水没したらいやだなぁ、と思っていると、前を歩いている家族連れから「トンネル破れて水出てきたらどうする?」「こわーい」という声。皆、考えることは同じか、と苦笑。

 底に近くなるにつれて、傾斜が緩やかになり、中心地に県境がある。道の真ん中に何ともわかりやすく白い線で県境が引かれている。ここからは登り坂。緩やかに上がっていっているのに、だんだんとしんどいなぁと理解するぐらい。スタート時軽々進んでいた自転車・原付の人も、フウフウいいつつ黙々と足を進めている。そんなこんなで約10分強、全長780mのミニトリップは、スタートと同じミニ広場、エレベーター、人道入口にて終了する。人道入口のあるビルが両端とも全く同じ構造をしているのにはびっくり。まるで点対称です。下関側出口は、壇ノ浦古戦場跡のほど近く。下関中心部へ向かうには少し距離があるけど、こちらはバスが頻繁に出ているのであまり問題なし。人道入口にはどちらも駐車場があり、日曜日というのもあるのか、ちょっとした散歩がてらにも利用されているようです。予想よりたくさんの人でにぎわっていました。

その2、関門連絡船。


 といっても、昔の鉄道連絡船ではなく、関門汽船という会社が運行する、下関唐戸港と門司港の間を約5分で結ぶ高速船のこと。片道390円。

 ほぼ終日、約20分おきに運行されているけれど、日曜ということもあってか積み残しも出るほどの大にぎわい。船室内がいっぱいだったので、後部デッキでボーっとしていようと思っていたのですが、予想より船が速く、振り落とされんばかりの勢い。明らかに船尾が沈み、きれいな魚のヒレのような波が立ち、それはそれで面白いものが見れたな、と思ってはいたのですが、なにせスピード速すぎ、落ち着いてカメラを構えることも、船旅の余韻に浸る間もなく、あっというまに門司港に到着。乗ってみると、意外と高いなと思いつつも、利便性やコースを考えると絶妙な設定だなぁ、と感心。やっぱり海を渡るには船が王道かな、と思いつつも、高速船ではなくふつうの船の方が似合うのになぁという気もして。でも、これだけ頻繁に船が行き交う混雑した海峡では仕方がないのかな。

その3、九州鉄道記念館関門トンネルと北九州展」


 この後の予定まで、もう少し時間があったので、JR門司港駅横にある「九州鉄道記念館」という施設を見学。元九州鉄道本社屋と、九州にゆかりのある車両を展示する、コンパクトだけど結構見どころのある博物館です。
たまたま、企画展示で『関門トンネルと北九州展』というものが行われていた。キップや写真などの資料、関係者コメントや当時の記録を集めた映像など、なかなか充実した展示でした。