読んだ本メモじわじわと更新するよ 050〜

太陽の塔」/森見登美彦/新潮社(新潮文庫) 太陽の塔 (新潮文庫)

 うわぁ、痛い! なんだこれ!って思わず声を上げてしまいたくなる恥ずかしさ。かなりいけてない大学生生活、もうあきれ返るほどのフラれ男子のウジウジさ全開で、かなり内容が無く(褒め言葉)だらだらと日常を過ごす。くだらなすぎて(これも褒め言葉)かなりいい。特に舞台が京都・関西圏なので、余計に痛さ倍増で受けてしまうよ。「N.H.K.へようこそ」のバージョン違いのような、枠から少し外れた大学生の話、という感じ。ん〜この本は笑えたとしても爆笑ではないように思うのだけど、これは何だ、思考パターンが似ているとでもいうのか…。
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「失はれる物語」/乙一角川書店(角川文庫) 失はれる物語 (角川文庫)

 初乙一です。前々から気になっていたのに、手を出すタイミングを逃していたので。
 これは白乙一かな。すごかった。今まで読まなかったのを後悔するぐらいに。胸を締め付けられて、こみ上げてくるような。なるほど、乙一は『せつなさの達人』か、うまく言うなぁ。表題作や「しあわせは子猫のかたち」など、したくもない感情移入をしてしまいそうになる。決してハッピーエンドでない、どころか絶望の底に落とされるような話も多い。しかし、どこかキャラクターが「死んでない」(例えば、この前に読んだ「"文学少女"と死にたがりの道化(ピエロ)」のキャラクターは、ある種自らを閉じることで精神的に死を受け入れているのだと思う。この前まで見ていたアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の放送13〜14話で、主人公・ハルヒの閉鎖空間への移行が「現実世界からの逃亡=死?」を表してるんじゃないかなとか思ったこととかと同じ。ちなみに、閉鎖空間からキョンとの「白雪姫の」キスで現実に戻ってくるというのが、まさしく「死からの生還」=現実世界への復帰じゃないのか、と。)こと、生きたいと願う感情、それらが「ヒトの温かみ」を蘇らせてくれるのではないかと。
 角川スニーカー文庫→ハードカバー→角川文庫と推移しているらしいのだけど、改めて角川文庫版で出してくれて、良かったと思う。最近ライトノベルもよく手を出すようになってきているのに、今まで気づかなかったというのも、レーベルの扱いや書店の配置場所とかに関係するのだろうし。それにファンタジーでも戦闘ものでも非日常ものでもない作品って、往々にして一般レーベルでのほうが売れていると思う。というか、私は今まで存在を知らなかったので、今回の文庫化には感謝です。新規収録分があるおかげで、既存の読者には優しくない仕様だとも思いますけど(笑)。
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