スリランカ・ヌワラエリヤの競馬コース

knyacki_j2004-09-03

 スリランカ高原地帯の中央、ヌワラエリヤ。ここは赤道近くに位置するにも関わらず、標高が高い(2000m以上)ために平均気温20℃程度とさほど暑くならず、イギリス植民地時代には避暑地として開発されてきた。そのため、街中には郵便局をはじめとしてコロニアル風建築が数多く残り、クラブ、ゴルフ場、そして競馬場などいろいろなイギリスの伝統がスリランカの生活に入り込みながら残っている。そんな街。
 街、といってもさほど大きくない、むしろこぢんまりとまとまった市街地。そこから500mほど南に進んだ、その名にもイギリスが残るQueen Elizabeth Rd.沿いに競馬場、というか競馬トラックが。入場門付近にはポニーの馬引きがしきりに声をかけてくる。とりあえず無視して進む。「Srilanka Turf Club」と書かれた門の横には「Srilankan Airlines Governor's Cup」と大きなレースの看板が出ている、しかし日程欄は2004/4/10・14・17・24という文字が塗りつぶされたまま。開催している様子はないなあと思っていると、また客引きらしき男に声をかけられる。ポニーはどうだ、馬車にも乗れるぞ、と。とりあえず乗馬は断るが、すると「山や湖がよく見える場所に連れて行ってやろう」という。詳しく話を聞くと、彼はこの競馬場のジョッキーであり、観戦スタンドの上に案内するという。案内料はいらないというのが逆に怪しいと思いながらも、興味が上回りついて行くことに。
 ゴール手前の観戦エリア。スタンドの下は事務所になっていて、事務所の人と言葉を交わしながら、スタンドの上に連れて行く。スタンド自体はとても小さく、しかも半分は会員席?のようで、実際に観戦するのはスタンドより4コーナー側の芝生席。スタンドの上からはコースが一望でき、遠くには人造湖なども顔をのぞかせる。
 彼はそのまま、厩舎・ブッキングオフィス(馬券売り場)・パドック・ウイニングサークルを案内、その後コースを一周してみるかと誘うのでついて行ってみる。芝コースは伸び放題になっているが、「開催時にはちゃんと刈るんだ」という。歩きながらいろいろ話を聞いた。現在はここの競馬場は年にひと月、4月にしか開催されない。競馬をしているときは何千人も集まって、それはにぎやかだ。コースは1週1.5km(8ハロン)。インドからも馬やジョッキーが参戦してくる。競馬をしているときはジョッキーだが、普段は仕事がない。スリランカはなかなかいい仕事に恵まれない。でも、自分はスリランカが好きだ。ヌワラエリヤはいいとこだろう?今度はツアーじゃなくてゆっくり滞在したらいい。etc...
 コースを一周し、競馬場の門まで来たとき、気がつけば案内してくれた彼の姿が見えない。と思ったら、別の欧米人とポニーライドの話がまとまったらしく、連れて行こうとしている。本当に案内をしてくれるだけだったらしい。なんだかそのまま立ち去りがたく、あわてて呼び止めて写真を撮らせてもらい、少しのチップを渡して「ぜひもう一度ヌワラエリヤに来るよ」というと、彼はうれしそうに「ああ、今度は彼女も連れてきな」と。うーん、それはどうだろう…。