世界で最も美しい、森の教会墓地。Skogskyrkogarden(スコーグスシュルコゴーデン)


 スウェーデンの人々は、「人は死んだら森へ帰る」と考えているという。森と湖の都ストックホルムの郊外、森に囲まれた墓地、スコーグスシュルコゴーデン
 元々キリスト教信仰の中で体を保持するために土葬する習慣のあったヨーロッパにおいて、早くから火葬を前提とする共同墓地を設置したスウェーデンは、死生観が異なっていたのですかね。1915年から1940年の約25年間にわたって造成されたスコーグスシュルコゴーデンは、「北欧近代建築の礎」エーリック・グンナール・アスプルンドの代表作*1。巨大な森の木立の中に、宗派を問わない約12万の人が眠っています。ヨーロッパで教会や宗派に帰属しない墓地はとても珍しいように感じる。



 光と緑に調和された、美しい墓地と小さな建築物。表現として正しいかどうかわからないけど。日本の墓地のような暗さを感じないのは、自然そのままの姿が残されているのと、線香の臭いがないからなのか。



 ビジターセンターがあったので、開くまで待って入ってみた。そこには、施設の紹介のなかに、初期のデザイン案などが紹介されていたのだけど、そのイラストには、現在のシンボルになる十字架が描かれていなかった。現在ではこの墓地のシンボルのようになっているけれど、特定の宗教にとらわれないなら普通の碑の方がしっくり来たのかもしれない。



──「Hodie tibi, cras mihi(今日はあなた、明日は私)」

 森の礼拝堂には、このような言葉が残されている。アスプルンドが、ちょうど自分の息子を亡くした頃だ。
 そして約20年後。彼の最高傑作である「森の火葬場」を完成させ、同時に天へ去った。
──「Hodie mihi, cras tibi(今日は私、明日はあなた)」となって。

*1:「森の火葬場」以外はシーグルド・レヴェレンツとの共同作品