読んだ本メモ。

 最近読む本が減っている気がする。なんだか時間が足りないんだよなぁ。そんなわけで、読書メモも停滞中な訳ですが、たまには簡単にでも。

「観光コースでない台湾―歩いて見る歴史と風土」/片倉佳史/高文研 観光コースでない台湾―歩いて見る歴史と風土

 個人的には大好きな旅行先である「台湾」という場所。でも、その背景/歴史なんてほんのこれっぽっちしか知識として存在していなかった、ということを思い知らされる。
 そもそも「台湾」とは何なのか、「台湾」という地域はどこを示すのか、ということからはじまり、日本による占領、国民党政府の戦後史など、複雑な歴史を辿ってきたということを考える導入書として、とてもわかりやすく興味が持てる。また、各地にのこる遺構、特に日本統治時代のものについて、保存活動などが行われている経緯などを聞くと複雑な気分にもなるのだけど。
 一番、印象に残ったのは、高校時代、歴史の授業で聞かされていた「霧社事件」の項。日本統治の歴史背景、その後の台湾の歴史と併せて知ることで、考えさせられずにはいられませんでした。いまでも心の隅から離れない気がします。
 今度、台湾に行くときには、もう一度事前にこの本を読んでみよう、と。
はてな年間100冊読書クラブ 055/100>

半分の月がのぼる空」7・8/橋本紡メディアワークス電撃文庫半分の月がのぼる空〈7〉another side of the moon―first quarter (電撃文庫) 半分の月がのぼる空〈8〉another side of the moon-last quarter (電撃文庫)

 id:knyacki_j:20060221#p1の続き。やっと続刊が完結して、ちょっと読むのに抵抗があって置いていたのだけれど。
 この二人だから特別で、でも何気ない日常。そして、主人公2人の周りに集まる様々な人物の姿、いろいろが詰まったサイドストーリーです。おもしろい、おもしろくない、とかではなく「きれいだった」という感じでしょうか。
 本当は、心の中には、5巻で止めておいて欲しかった、という気持ちもあります。でも、ありがちな「人間の生と死」のテーマのなかにも、6・7・8巻という「生」の部分をなんとしても出しておきたかったという作者の気持ちも十二分に伝わってきます。実際読後感はとても気持ちよかった。うーん…複雑な…。ただ、余計なものという気分は、8巻読了後、だんだんと薄れてきたので、やっぱりこれでよかったのか、とも思います。読んで後悔することはなかったのだし。
はてな年間100冊読書クラブ 018-(2)/100>

「お留守バンシー」/小河正岳メディアワークス電撃文庫) お留守バンシー (電撃文庫)

 なんかおもしろかった。
 というのも、こういったバンパイアがーモンスターたちがーとかいうライトノベルがどうも苦手で避けているのだけど、たまたま「電撃文庫大賞 大賞受賞作」とかいうコピーに惹かれて購入した…らしい。記憶にないのだけど。で、まあ、せっかくだからと読んでいたのだけど。いろいろな人外な設定が出てきて、免疫がないので訳わからーんとか思っていたけど、意外と味付けがあっさりしていて、まったりほんわか系に仕上げられているからか、悪くはないなぁという感じ。全体的に読みやすかったのですよ。
 そういえば、「バンシー」って、アイルランドに伝わる女の妖精のことなんですよね。去年アイルランドに行く直前に買って読んでいた「妖精のアイルランド―「取り替え子」(チェンジリング)の文学史 (平凡社新書)」という本を思い出してました。妖精というと明るく楽しいイメージと思いきや、背景にある苦しい歴史の末に登場しているものだ、ということ、この本を読むまで知りませんでした。バンシーも『アイルランドの由緒ある家族に死人がでたとき、その死を悼んですすり泣く』妖精なのだった。そういわれれば、ちゃんとそのあたりの設定もうまく生かされていたかな。
はてな年間100冊読書クラブ 056/100>