旅行中の読書メモ、その1。

メビウス・レター」/北森鴻講談社講談社文庫) メビウス・レター (講談社文庫)

 梅田紀伊国屋書店のPOPに惹かれて購入したまま、積ん読状態だったのを引っ張り出してきた。初読だったのです。
 はじめから大きく2つの事件が平行して動いているように感じるので、人物には気を付けて読んでいたつもりだったけれど、それでも話の集結具合は目を見張るようだった。とりあえず大量のトリック?伏線が次々と出てきて、すーっと読みすすめられた。でも、実は犯人(?)が名を名乗ったときに「え、誰?」と少し戸惑ってしまったりもして。最近でこそ、こういうどんでん返し的なミステリーを見かけるようになったけれど、2001年(初版1998年)当時では珍しかったのでは。すっごく面白かった!というわけではないのだけど、他の作品も読んでみたい、と思うような気にはなるぐらい。でも、他の書籍って結構毛色が違うんよね。
 最後、事件が終結した後の、あの当時の「その後」のエピローグがあまりにも悲しかった。もうどこにもいないキミに向かって、手紙で呼びかけ続けるボク、復讐することで自己を取り戻せることができていたのかもしれない、という希望のモノローグがとても空虚を誘うので。
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