旅行中に読んだ本。「サマー/タイム/トラベラー2」/新城カズマ/早川書房(ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

 一気に読んでしまった分、盛り上がりより読後の脱力感の方が強かったりして。(あ、つまんなかったというのではなく、その逆。)
 全然SFっぽくないけどれっきとしたSFであり、なんというか布団の上をゴロゴロと悶絶したくなるようなモノではないけれど、やわらかくて優しい青春小説だと思います。実は他の著書は読んだことが無いのですが。
 主人公たちが「頭がいい/まわる/切れる」故に「なんでもできる」と思っていることと、逆に「期待をもてない未来への不安/恐怖」とが、一人の「時間を跳べる」女の子の切なさに集結していくのだと思います。この場合、時間跳躍が日常性が崩壊していくことの具体例なのですが、結局は「この夏休みが終わること」でもあるのですよ。うまく言えないおかげでよくわからなくなってきた…。うーん、つまり、時間を跳躍し未来へ行くことも、自分が大人になっていく事への不安も、つまりは"Anywhere but here"=ここではないどこかへと変化してしまうこと、それは成長でもあり、大人になることなのかもしれないです。
 しかし、夏は始まったばかりの気がするのに、気分的には夏の終わりの何かが抜け落ちたような寂しさ。まあ、だからこそ学生の夏休みは魅力的なのですよね。社会人になっての夏期休暇なんて魅力も何もないもんな。