「悪いうさぎ」若竹七海/文藝春秋(文春文庫)

悪いうさぎ (文春文庫)

悪いうさぎ (文春文庫)

 他の若竹作品とは少しテイストが違うような感じがする。
 探偵調査員・葉村晶のシリーズ初の長編は事件解決までの最悪の9日間。「悪いウサギ」は悪いことをしているウサギのことではないのだけど、この「悪いウサギ」の真相がわかったときには思わずゾッとした。いつものスパイス的な"毒"というには強すぎる後味の悪さ。途中で読みやめられない分余計に…。しかし、この迫力が若竹作品の魅力だと思うのですが。葉村晶の弱さとかっこよさが存分に楽しめます。まあ、ミステリーというよりはハードボイルドという気がしますが。