『鉄塔 武蔵野線』/銀林みのる/新潮社(新潮文庫)

鉄塔 武蔵野線 (新潮文庫) 「鉄塔」なんてつい見過ごしてしまうようなポイントを「こんな細かく?」と言うほどの観察力で小学生の好奇心にうまくはめている、こんな小説は初めて。小学生なのに一人称がわたし?とかはじめはなんだこりゃとか思うようなとこも、読み進むにつれてすっかり自分まで鉄塔マニアになってしまうような勢い。第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞作で、出た当初に一度読んだような気もするのだけれど、改めて読み返してみると、なんだか今の自分の趣味のはまり具合とは違う、子ともの頃の何でも興味・いわゆるワクワク感が掘り起こされるような、そんな気分にさせられる本でした。