『宿命〜「よど号」亡命者たちの秘密工作』/高沢皓司/新潮社(新潮文庫)ISBN:4101355312

 読むのに一番時間がかかってしまった。
 「よど号」ハイジャック犯たちは、なんと考え方が幼いんだろう。そうとしか考えられなかった。自分たちが革命を起こすと信じていた。北朝鮮にて保証された特別な暮らしをしていてもなんの疑いももてなかった。あきらかに人民たちを見下していたのにも関わらず自分たちの行動が人民のためである(朝鮮民族のためというわけでは無かったようだが)と信じて疑わなかった。怒りを通り越してしまうほどだった。しかし、最終章にて一つの想像させるにあまりある例が出てくる。ひとりのスケープゴートの存在によって、最終的な自分たちの立場を理解できたに違いない。…そうでなければ、彼らは本当に幼すぎる。いや、幼すぎたのかもしれない。そして、リーダー田宮は晩年、過去を振り返りだしてしまったがために、再びスケープゴートとされてしまったのかも知れない。しかし、それまでの北朝鮮などにおける拉致被害などを考えると、やはり彼らの果たした責任は大きく、だがしかし彼らは幼すぎたのだ。