近畿圏最後のスイッチバックへ。


 行きつもどりつスイッチバックの旅。
 この3月でスイッチバック施設が解消されるという、JR和歌山線北宇智駅というところへいってきました。本当は和歌山からのんびり紀の川沿いをのぼって行こうと思ったのですが、出発時間が遅くなったので南海電鉄高野線で橋本までショートカット。ここからは約30分ほどのショート•トリップです。

 一つ手前の五條からは多くの鉄ヲタさんらしき人たちが乗ってこられ、窓を開けたり先頭にかぶりついたり。皆考えることは同じなようです。緩やかな勾配*1を登り、北宇智駅の東側をスルー(地図(1))、この時点ではまだホームのある線路の高さに追いついていないのですが、少し行き過ぎたぐらいでホームのある線路と合流、踏切を越えてまっすぐ引き込み線に入ります(地図(2))。ここでいったん列車はストップ。今度は運転手さんが反対側の運転席に移り、進行方向が逆に。ポイントを渡り、ホームがある側の線路に進みます。ちなみにこのポイントの奈良側にある踏切は、この折り返し作業の約3分ぐらいの間、ずっと閉まったまま。こうして、やっと列車は北宇智駅に到着(地図(3))。またここで、進行方向が変わるため、運転手さんはホームを移動して元の運転席側に戻ります。なのでこの駅では、決して大きい駅ではないのですが、どの列車も折り返し作業のために3〜4分止まります。こうして、ようやく列車は本線側へポイントを渡り、高田•奈良方面にむけて出発していきます(地図(4))。
一度乗り過ごした後、一つ先の吉野口駅から引き返し、北宇智駅に戻ってきました。踏切まで歩いてきて線路を見渡すと、たしかに本線にはそこそこの勾配があり、ホームなどの引き込み線がそこそこ水平に延びているため、両引き込み線の車止め付近では相当の高低差があるようです。しかし、踏切で列車を待っていると、1列車が計3回通過する上に、ホームのない引き込み線側に入ったときは踏切がいったん開かないために延々と待たされる。見ている側とすればおもしろいなとは思うものの、列車が上下毎時1〜2本とはいえ、これでは地元から解消の願いが出るのも道理でしょう。

 勾配のきつい本線上での列車の停止•発進が困難だったために作られたこのスイッチバックですが、何とも手間と時間がかかります。非力な昔のSLなどと違い、今の電車ではさほどの支障ではないということで、この駅では勾配のある本線上にホームを設置し、スイッチバック施設を廃止することにしたのだそうです。この作業の手間や時間を考えると、なくなるのは効率化の為には仕方ないでしょうね。というか、むしろ今まで放置されていたことの方が意外でした。もっと早くに何とかされていてもおかしくなかったのでは、などと思います。

*1:といっても、鉄道としてはそこそこの傾斜ではあるのですが。たしか20と勾配標にかかれていたので20‰なのかな。