SL北びわこ号に揺られて湖北路へ

 私より「鉄」分の濃い友人ぴろ氏に誘われ、同じく友人F氏と3人で蒸気機関車に乗ってきました。毎年JR西日本が季節ごとに湖北エリアで運行する「SL北びわこ号」です。
 個人的には、動いているSLに乗るのは2度目(もう7〜8年前に、北海道のSLすずらん号で)、見るのはこれで4度目(子どもの頃に京都の梅小路蒸気機関車館でと、一昨年移動中すれ違ったSLあそBOY号)。でも、何度見ても、迫力があるというか普段の乗り物と違う感じ、なんというか生き物のような、逆にものすごく精密なメカのようにも感じます。何なのでしょう?

 この「SL北びわこ号」は、米原北陸本線木ノ本駅までの22.4kmの片道運行。普段新快速が20分強で走る区間を、ゆっくりと約1時間もかけて運行されます。おまけに全席指定のため、運賃+510円の座席指定券が必要です。こんな時間も金もかかる列車は、さぞ酔狂な人間しか興味ないのではと思うのですが、どうもこういった酔狂な人間は想像以上にたくさんいるらしく、「午後の便ではボックス(4人がけ箱形シート)が取れなかったので」と、米原が10時12分発の朝の便しか確保できず、朝早くから大阪を出るハメになっちゃいました。まあ、朝起きれなかったので、贅沢に新幹線でやってきたのですが。
 「ひかり」で米原駅に到着する寸前、駅外れに煙を吐く蒸気機関車が停泊しているのを確認。気分はいよいよ高まります。と、着いた米原駅は、新幹線改札を出ると跨線橋上がものすごい混雑。人を掻き分けなんとか連絡をつけ友人達と合流。3人が3人とも米原くんだりに来るのですらバラバラというのが私ららしい(苦笑)。


 米原駅の周りってなにもないねぇとか、SLが入線してきたとか、バタバタとしているうちにあっという間に発車時間、SLの正面も見に行けないうちに列車は動き出しました。ガク、ガク、ガクン、ガクン、と、小刻みに前後動しながら、ゆっくりゆっくりと渡り線を横断し、いよいよ走り出すのかなと思いきや、なんとなく助走ぐらいのスピードで息遣い荒くSLは湖北路を走ります。この辺まで来るとそこそこ気温も低いのか、蒸気の吐く煙は濛々とし、気のせいか汽笛も予想よりにぎやかです。余りに汽笛が派手なので、この前、千葉で「SLを撮影するのに線路上に寝ころんで列車を止める」なんてニュースが流れてたんで、冗談で「また『まさか列車が止まるとは思わなかった』なんて人がいるんでは?」とか話してたら、途中踏切の中に入ってカメラを構えている人を発見。夢中になると気付かなくなるんでしょうか、危ないです。しかし、沿線にカメラを構えた人が多いこと。老若男女問わず、至る所で撮影対象になっていました。仕事中であろう、警備の人や沿線工場の中の人までポケットカメラを取り出したり(仕事しろ(笑))、親やお年寄りに連れられた子ども達が手を振っていたり、眺めている人はみなにこにこしています。やはりSLは皆の羨望の的なんですかね。乗っているこっちとしては、なんか照れ恥ずかしいやら、肝心の蒸気機関車はさっぱり見えないので気になったり。車内は鉄道好きな団体さんもいましたけど、予想より親子連れとお年寄りが多かったです。珍しいものを見せたい親心や、昔を懐かしむ方達でしょうか。
 このSL、途中全ての駅に止まっていきます。下手に通過駅を設定するとホーム上で逆に危険だったり、早く着き過ぎたりするからでしょうか。昔は当然普通列車も全部SLだったんだからこれで普通かとも思いつつ、その昔に比べて駅数は増えているだろうから運転する側も大変だろうなとか、途中の駅で長く停まると言われればホームに飛び出したり、としているうちに、1時間ぐらいはあっという間に過ぎていきました。終着、木ノ本駅木ノ本駅では、SL運行についての面白いこともあったんですが、まあそれは友人のブログにも書かれているので、そっちに譲ります。


 ひさびさのSL体験。なかなか面白かったです。個人的には、やっぱりSLは『乗るモノより見るモノ』という気もするのですが、乗らないとわからない動きや息遣いというものもあるので、「一度乗って、次に見る」のがいいかな。いかに美しい風景の中に綺麗に収めるか、とカメラで苦心するのも面白いのでしょうが、SLなどの列車の写真を撮るために車で移動したりということの(気持ち的に)できない私は、友人の言葉を借りるなら「撮り鉄」より「乗り鉄」なんだなぁ、などと思いました。
 そういえば、帰ってから気付いたのですが、なんかSLが違ったような。JR西日本の「おでかけネット」ページには、SL北びわこ号の説明として、

昭和10年〜14年にかけて作られ、ポニーの愛称で有名な「C56形160号機」が牽引します。』

http://www.jr-odekake.net/train/sl-kitabiwako/index.html

とあったのですが、実際にはC57形1号機という大型の機関車が牽引していました。「おでかけネット」によると、この前行ったJR山口線の「SLやまぐち号」用の機関車とのこと。シーズンオフで出張してきていたのでしょうかね。もっと可愛らしい感じの汽車かと思っていたのが、期待はずれというか予想外というか、(そこそこ)大型で迫力のある、形の美しい機関車になっていたのですね。