読んだ本 027〜
「球形の季節」/恩田陸/新潮社(新潮文庫)
「噂から都市伝説が始まり、噂が噂を読んで…」地方都市の高校生の感じている"大人の階段をのぼる"過程での葛藤と民俗学・社会学、ファンタジーがまとめてセットになったような。すごく人物が活き活きとしている、というのとは違う(描写が甘いとかいうのではない)のだけど、なんとなく感性をくすぐる。どちらかというと現実よりも大人びているのではないかという高校生たちそれぞれが悩み苦しみ、正解のない答えを捜し、求めているような。誰もが持つであろう不安定感にとても惹かれる「物語り」でした。ホラーというのとはちょっと違うように思うのだけど。
<はてな年間100冊読書クラブ 027/100>
「ナスカ・砂の王国―地上絵の謎を追ったマリア・ライヘの生涯」/楠田枝里子/文藝春秋(文春文庫)
地上絵のあるナスカで研究を続けている研究者がいるという話は耳にしていたのだけど、この本で初めてきっちりとマリア・ライヘという人の功績を知ることができた。研究書でも伝記でもなく、はいり込みやすい紀行文として読めたことで、地上絵自体の謎の部分は軸がぶれ気味な感があるにせよ、マリア・ライヘが全てを注ぎ込んだという神秘と彼女の生涯がオーバーラップし、感情が素直に伝わってきます。
前にペルーに行ったときは、何の知識もなく、Nazcaの手前のIcaという街から遊覧飛行で見ただけだったのが、今になって悔しい。さすがに次の機会と簡単には言えない場所ですが、上空からNazca Lineを見た後、Nazcaの街やマリア・ライヘ博物館などへも訪れてみたいと思いました。Nazca line も Machu Picchu も、もう一度行きたいなぁ…
<はてな年間100冊読書クラブ 028/100>
「廃競馬場巡礼」/浅野靖典/東邦出版
こういう感じの本自体は好きなのですが、たまたまパラパラと開いたところに、地元の元競馬場が載っていたもので。なんというか、ギャンブルが悪とされて、(その時代の背景もあるのだろうけど)競馬場だけが潰されていくのがどうにも納得できなく悲しいです(まあ私が生活していたときまで競馬場が残っていたら、自分の将来的にエライことになってたかもという予測もあるのですけど)。競馬場後の公園のトラックを、小学校のころ授業で必死に走らされていたなぁとか、ちょっとノスタルジーまではいったりして。一度、この本の情報を持って地元に戻ってみるかなぁ。
<はてな年間100冊読書クラブ 029/100>
「ドミノ」/恩田陸/角川書店(角川文庫)
この前読んだ「DZ(ディーズィー)」(小笠原慧)(id:knyacki_j:20060207#p2 の一番下)に似たような構成。内容で言うとこちらは完全にコメディですが。「DZ」が「どーぱみん、どくどく」なら、「ドミノ」は「ジェットコースターにドタバタ」という感じ。全くバラバラに見える話の流れが最後、東京駅という一点に集約されていく様は、なんというか凄い。昔の「トムとジェリー」のような。連鎖反応、たしかに「ドミノ」です。何も考えず、一気に読んで!という話でした。
しかし恩田陸ってマルチライターだなぁ。匠という感じではないけど、話の持っていきようが巧いのです。どれもほんとハズレないし。読めば読むほどいろいろな作風に驚く。まだまだ未読も多いのに。
<はてな年間100冊読書クラブ 030/100>
「ニライカナイをさがして」/葉山透/富士見書房(富士見ミステリー文庫)
自分の口で自分のことを語ることの大切さ、かな。地味にほのぼのとしてて、読後さわやかな「ボーイ・ミーツ・ガール」モノでした。設定が極端すぎるのはご愛嬌ってとこか。沖縄行ってみたいなぁ。
<はてな年間100冊読書クラブ 031/100>