読んだ本 023
「ジェノサイドの丘―ルワンダ虐殺の隠された真実」上・下巻/Philip Gourevitch、柳下毅一郎(訳)/WAVE出版
金曜日、「ホテル・ルワンダ」という映画を見てきた。
『たった100日の間で、100万もの人々が虐殺された。』…今からほんの12年ほど前に。IDカードを見なければわからないほどの、歴史的に意図的に区分されていた民族同士で、軍隊でなく一般市民が、隣人が、家族が殺戮者となる…。映画の結末は決してハッピーエンドなどではない。それも難民キャンプに逃れたことで終わりではなかったのだ。事実では。殺戮者も同様にキャンプに逃げ、支援され、仕切り、新たな殺戮を繰り返す。絶望。そして、国連も、世界も「価値がないから」何もしなかった。殺戮した側・された側が一緒になって、国家を再建しようとする、新たな苦悶。
正直なところ、映画終了直後は全く頭が回らなかったのだけど、少し冷静になってこの事件を見てみたいと思い、この週末はこの本を読むことに力を注いでみた。しかし現実は重い、とてつもなく重かった。結局、どうまとめようとしても、きれいごとにしか見えなかった。
「世界の人々は、この映像を見て…“怖いね”というだけで、ディナーを続けるだろう。」映画中、外国人ジャーナリストが吐いた台詞。そして、この映画を見終わった後…、いまの私は、何が違うのだろう…。
そして。今日、NHK-BSで「ダーウィンの悪夢」という映画が放送されていた。ここには、またアフリカにおける別の地獄が描かれていた…。ビクトリア湖が、湖を中心とした生活・社会が、たった一種類の肉食魚ナイル・パーチの投入により生態系を破壊し「ダーウィンの箱庭」から「ダーウィンの悪夢」へと変わり行く様…
ナイル・パーチは、それまで食料であった魚を食べつくす。ナイル・パーチはいくらでも取れるが、高級魚なのですべて輸出される。ロシアなどの輸送機が毎日大量の魚を運び出す。代わりに時々運ばれてくるのは経済支援物という名の武器。隣国などに流れているのか。そして、自国民が食べられるのは残りカス、ゴミ。農地は荒れ果て、出稼ぎ先の湖岸の町で広まるHIV。人口300人強の街で、半年に50〜60人が亡くなるだって?そうして輸出された魚は欧州・日本で食べられている。もちろん、先の地獄絵図などは知らずに。
こうして価値ある国は食い尽くされ、価値がなくなると見捨てられる…
いま、私にできることといえば。
事実を知ること。そして、現実に目を向けることしかないのか。何かを振り切るために。無知は罪ではないのか、と。
<はてな年間100冊読書クラブ 023/100>