お出かけ編「中国茶藝 バンブー茶館」高知市はりまや町−04/03/22

knyacki_j2004-03-23


 蜜蘭香という中国は広東・潮洲の青茶を飲む。

 ふらりと寄ろうと思ったにしては、場所がわからなくて付近をさまようこと10分。やっととあるビルの入り口に「バンブー茶館」という緑色の看板を見つける。ビルの2階の奥まった場所にその茶館はあった。四国でも数少ない本格的な中国茶を飲ませてくれる店と聞き、時間があれば、こんな機会でないと行けないだろうと虎視眈々と狙っていたのだが。

 中には、マスターの他に常連さんと思われるおっさん2人が、なにやらレコードやアンプの話に花を咲かせている。店はさほど広くなく、適当に空いているテーブルに腰を落ち着ける。話に加わっていたマスターが中座し、注文をとりに来た。「メニュー、わかりますか?」と。

 いろいろな中国茶が書かれている。知っている銘柄もあれば聞いたことのないものもある。こういうとき、私は全くわからない状態で店の人に尋ねる。その方がその店のコンセプトやらおすすめやらがよくわかるからだ。実際、いろいろな店に行くと、その店々によって扱い方が違ったり、またいろいろ新しいことが聞けたりするのである。

 「とりあえず、この店のおすすめはありますか?」と尋ねる。メニューの半分以上は青茶、それがさらに味の濃いものとあっさりのものに分かれている。そして、味の好みが聞かれ、濃い方がいいと伝えたら、台湾の炭焙烏龍と大陸潮洲の蜜蘭香を勧められる。なので、飲んだことのない蜜蘭香をお願いする。蜜蘭香とは大きくは鳳凰単叢という括りに属する中国は広東省お茶。

 着々とテーブルに準備されていく。「お湯はアルコールランプで沸かしてますが、お茶を入れたら火は消してください。そして、次に飲むときに再び火をつけ湧かしてください。そうしないと、水の中の空気が逃げてしまいます。」「ポットや茶器は温めてください、これは他のお茶を淹れる時でも同じですが。」「お茶のアクが出るよう、少し高いところからお湯を注ぎます。」「茶葉を開きやすくするため、洗茶します。」「この茶壺の周りが乾ききって、注ぎ口の水が内側へひっこんだ位で、茶海に移してください。」…流暢な説明と共にお茶の用意がなされる。まず香りを嗅ぐ。軽く香りはするがあまり強くはない。そして、一口。ふゎっと香る花のような甘い香り、口の中に広がる糖分ではない甘さ。蜜蘭香、文字通り、一度飲んだら二度とこの茶葉の名前は忘れないに違いない。一日中たちっぱなしだった疲れが、すうっと抜けていくようだ。

 お茶の友は文庫本。お茶もおいしく、本もおもしろく、気が付けば予定していた時間を30分ほどこえてしまっていた。そろそろ現実に戻らねば。