<今日読んだ本>

●続 事故の鉄道史/佐々木冨泰・網谷りょういち/日本経済評論社

続・事故の鉄道史

続・事故の鉄道史

 もし、自分の乗ってる電車の運転士に「この電車のブレーキは壊れました。覚悟して下さい。」などといわれたらどんな気持ちになるんだろう。さすがに想像もつかないが。時代が時代とは思うけど、実際起こった話。昭和23年、近鉄奈良線の生駒トンネルを出て大阪平野を下る路で。「今ではあり得ないだろう」と思うことはたやすいけど、事故って言うモノは「まさかあんなことが・・・」ということが起こるからこそ事故であるということから考えて、笑い話にできるものでもないか、と思う。いや、思った。この本に掲載されている事故は、餘部鉄橋列車転落事故を除き、すべて私が生まれる前の事件だけど、こう記録を辿っていると、今でも何かを訴え、生々しく感じられてくるものがある。航空事故にしても、鉄道事故にしても、実際の事故の責任はほとんどがそのとき現場にいた者たちに回され、そこに複雑に絡んでくる要因に関して、すべてを計りえることは到底できない。というか、隠れてしまって表には出てこない、何か妖怪のようなモノを感じてしまう。そういった部分をこれらのノンフィクションでは掘り起こしてくれているところに、この本のおもしろさがあるのだろうか、なんて。